東京地方裁判所 昭和63年(特わ)2380号 判決 1989年4月19日
本店所在地
東京都八王子市中町二番三号
株式会社ツカモト
(右代表者代表取締役 塚本元市)
本籍
東京都八王子市長房町一三一九番地
住居
同都同市千人町二丁目八番二三号
会社役員
塚本元市
大正八年一月二五日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官井上經敏、同高木和哉出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社ツカモトを罰金四〇〇〇万円に、被告人塚本元市を懲役一年六月にそれぞれ処する。
被告人塚本元市に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社ツカモト(以下、被告会社という。)は、東京都八王子市中町二番三号に本店を置き、建物構築物の賃貸等を目的とする資本金五五六万円の株式会社であり、被告人塚本元市(以下、被告人塚本という。)は、被告会社の代表取締役として同社の業務全般を統括していたものであるが、被告人塚本は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、土地売却収入の一部を除外するとともに、保険料を水増し計上するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和六一年一〇月一日から同六二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五億七三五〇万三六七一円で、課税土地譲渡利益金額が一億四五〇一万五〇〇〇円であった(別紙1修正損益計算書及び別紙2脱税額計算書参照)のにかかわらず、同六三年一月四日、同市子安町四丁目四番九号所在の所轄八王子税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億七〇三八万九五二八円で、課税土地譲渡利益金額が二五八二万六〇〇〇円であり、これに対する法人税額が一億一一九一万七四〇〇円である旨の虚偽の内容の法人税確定申告書(平成元年押第七八号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二億六三〇六万二六〇〇円と右申告税額との差額一億五一一四万五二〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告会社代表者及び被告人の当公判廷における供述
一 被告会社代表者及び被告人の検察官に対する供述調書三通
一 収税官吏作成の被告会社代表者及び被告人に対する質問てん末書六通
一 古園強の検察官に対する供述調書
一 収税官吏作成の古園強、守屋峰雄(二通)、道善威一郎に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の次の各調査書
1 固定資産処分益調査書
2 保険料調査書
3 受取利息調査書
4 有価証券売買益調査書
5 諸手数料調査書
6 事業税認定損調査書
7 土地重課税調査書
一 八王子税務署長作成の証明書
一 収税官吏作成の領置てん末書
一 登記官吏作成の商業登記簿謄本
一 押収してある法人税の確定申告書一袋(平成元年押第七八号の1)
(法令の適用)
被告会社の判示所為は、法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、情状により同法一五九条二項を適用し、その所定金額の範囲内で被告会社を罰金四〇〇〇万円に処する。
被告人塚本の判示所為は、法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、所定刑期の範囲内で被告人塚本を懲役一年六月に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
(求刑 被告会社につき罰金四五〇〇万円、被告人塚本につき懲役一年六月)
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 稲田輝明)
別紙1
修正損益計算書
株式会社ツカモト
自 昭和61年10月1日
至 昭和62年9月30日
<省略>
別紙2 脱税額計算書
株式会社ツカモト
自 昭和61年10月1日
至 昭和62年9月30日
<省略>